雨の日に雨を聴けるように
便利なものが増えると、自然のものがわずらわしく感じることがある。
私たちはしたいことをいつでも叶えられるように、まわりのものを便利にしてきた。
だけどそれは私たちのホメオスタシスを狂わせてきたようにも思う。
冬の水の冷たさや、夏の蒸し暑さ。
身体や心を壊すほどに、それを美しいと感じられる生活がしたいと思い始めてた頃に
新型コロナウイルスの拡大を受け、緊急事態宣言が出て、家にいる時間が半日ほど増えた。
私の部屋は動き始めた。
朝起きて慌てて飛び出し、遅くに帰る私の部屋の窓は1日1度も開閉されないこともざらだったし、お気に入りのキャンドルは火がともされることがないまま棚から落ちて大事なところが欠けた。
今、私は、朝に鳥の鳴き声を聞きながら植物に水をあげるだけで胸がいっぱいになる。
水や火、風の揺らぎや音に気がつくようになった今、やっと人間らしい生活を噛み締めている。